株式会社SPLYZA 土井寛之社長

「課題発見」「課題解決」の能力を養えるスポーツに、ICTを取り入れる。

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今回は、株式会社SPLYZA 代表取締役 土井寛之 様です。

【Profile】
株式会社SPLYZA
代表取締役 土井寛之

元製造業ソフトウェアエンジニア。社会人になってからウィンドサーフィンに出会い単身オーストラリアへ。帰国後アマチュアスポーツマンの「もっと上手くなりたい」を叶えるため、映像を活用した「ITxスポーツ」のサービス実現にむけ2011年創業。代表的アプリ『SPLYZA Teams』と『SPLYZA Motion』が数多くのスポーツ競技で活用される。人生のテーマは「7分の7ワクワクする日々を体現する」。

目次

アプリ開発で「スポーツ×教育」に貢献する

社名のSPLYZAは「Sports」と「Analyze」を組み合わせた造語です。主力商品はアマチュアスポーツ向けの映像分析ツール『SPLYZA Teams』と『SPLYZA Motion』ですね。

『SPLYZA Teams』は2016年にリリースされ、現在30競技以上900チーム、約3万人にご利用いただいています。主な機能は2つあり、チームでできる映像を使ったコミュニケーションと簡単なデータ分析です。

データ分析は、これまで手書きでしてきたようなシュートやパスの成功失敗など、試合中のイベントをカウントしてそのまま映像のなかにリンクできるので、数字の良し悪しだけではなく、「なぜ?」の部分をシーンを見ながらすぐに議論にうつせるのが特徴です。競技はサッカーが一番多くて、その次にバスケですね。

当初は高校部活動や大学体育会での導入がほとんどでしたが、ここ2年くらいはコロナ禍でICT教育やGIGAスクール構想などの流れがより活発になり、小学校から大学まで使っていただいています。

特に昨年リリースした『SPLYZA Motion』に関しては、学校の体育や探究の授業など教育現場での利用が多いですね。マーカーレスのモーションキャプチャなんですが、学校の体育の鉄棒やマット運動といった個人の運動にもICT(Information and Communication Technology)が使えるアプリを作ってほしいという、学校の先生からの要望で作ったものなのです。

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創業から成功までのストーリー

2011年に創業して、2014年に 『Spoch』『Clipstro』『Clipstro Golf』を立て続けにリリースしました。しかしユーザーからの反応はほとんどありませんでした。何をすればいいかなんてまったく分かってなかったですね。創業メンバーが全員エンジニアだからビジネスを立ち上げたこともなければ、マーケティングしたことも営業したこともない。起業するにあたってビジネス書はたくさん読みましたが、本を読んだからといってすぐできるわけじゃなくて。

目の前の課題にぶちあたって初めて、どう解決するかとなる。そういう思考回路になるまで時間がかかりました。ここまで開発に力を入れてダメだったんだから、これまでとは違う何かをやらなきゃということで、まずは広報活動に着手してみたという感じです 。その甲斐あって、『Microsoft Innovation Award 2015』『Apple Watch Best of 2015』『KDDI ∞ Labo』などに採択いただきました。

そして『Spoch』を改定したのが『SPLYZA Teams』です。20種目150チームがトライアル登録してくれました。しかし実際に課金してくれたのは、たったの5チーム。「あ、これユーザーに使ってもらえるサービスになってないな…」と思いました。それまではアプリの作り方が自分たちの勝手な思いだったんですよ。「私ならこれほしい」とか「俺たちこういうのやりたいよね」とか主語が「自分」だったんです。結果的に小学生からプロまで使ってもらえる、種目何でもありの機能満載なアプリになっていました。

そこでまず僕たちの「顧客」が誰かというのを改めて考え直して、契約をいただいた5チームのほうだけを向こうと決めました。そして5チーム中4チームが高校部活動、5チーム中3チームがサッカーだったので、まずは高校サッカーだけに集中してやってみようということになりました。

何十人という顧問の先生に話を聞いて、やっと本当の課題がみえてきました。学校の先生ってものすごく忙しい。映像の編集や分析をやろうと思ったら睡眠時間を削るしかない。その課題を僕たちが一緒になって解決しなければいけないという視点が、それまでまったくなかったんです。

イチかバチかで生徒に分析をやってもらうアプリに作り替えよう、これがダメだったらもうおしまいだと思いました 。生徒たちにそんな習慣がないから大丈夫かという不安もありましたが、会社としてのタイムリミットが迫るなか1カ月で作り変えて持っていくと、「こういうの待ってました!」と、先生の反応がそれまでとは全く違いました。ものすごく驚いたり感動したりしてくれる。「今まで睡眠時間削ってやっていたのですが、これは本当にすごくないですか!よく考えましたね」って。

ちょうどICT教育で1人1台iPadを持ったり、学校のwi-fiを生徒も使えるようになったりしていて、インプット型からアウトプット型の教育になってきているので、日本の学校教育方針にもあっていたんです。それでアプリのアクティビティが一気に10倍にも20倍にもなりました。

今や類似のアプリが出てきています。「学生みんなで」って。でも5年前はそんなカルチャーなかったですから。僕たちのユーザーじゃなくても、そのカルチャーができてる。パイオニアになったんだなと感じます。

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SPLYZAらしい領域を創造する

僕たちの会社はスタートアップが通常よりすごく長いんですが、それは、もともと製造業のソフトウェアエンジニアという技術力と製造業のネットワークで、業務委託などのお仕事をいただきながら自分たちのやりたいことをやってこれたということでもあるんです。どんなものでも作れてしまうため、価値観やポジショニングやブランディングがはっきりしていないと、あらゆる方向を選択できてしまう。

でも会社としては、「スポーツ×教育」ということでここまできている。時々、契約してもらえればPMF(Product Market Fit)でしょと言う人もいますが、それは違うと思います。実際に使っていただいてこそPMFしているといえる。

だから単に「買ってください」ではなくて、「こういうふうに教育を変えましょう」という提案をしています。もちろん文科省の指導要領にもそういうことは書いてありますが、ほとんどの先生はいきなり教育を変えろと言われても何をどうしたらいいかわからないので。

最近は『SPLYZA Motion』をトレーナーや理学療法士が使いたいというケースが出てきて、リハビリ医療分野の可能性も出てきました。つながりのなかで「僕たちらしい領域」にしていきたいですね。

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スポーツを通して現代社会をサバイブできる人材を育成したい

中長期的には教育、特に体育教育を変えたいと思っています。スポーツが「課題発見」「課題解決」の能力を養えるツールだからです。一方、大学受験に必要な主要5教科にはそれがない。基本的に正解のある問題ばかりで、間違ってはいけないのでトライ&エラーじゃないんですよ。なのに教育現場ではその時間がほとんどになっている。

だけど社会に出るとほとんどが正解のない問題ばかりで、社会で求められる力と教育でやってきたことのギャップが大きすぎて苦しむ人が多い。正解を教えてくれとか、何すればいいんですか、というのはそういうことです。

昨年は東京学芸大学附属世田谷小学校や千葉県柏市の小学校で、僕たちの考えに共感してくださるICTに強い若手の先生たちがしっかり実証実験をしたうえで、今年度から4年生以上全員のiPadに『SPLYZA Teams』と『SPLYZA Motion』を入れた面白い授業をしてくれています。できれば自分の子どもも行かせたいくらいです(笑)。

目下、神奈川県の葉山町でもスポーツを通じた「考える力」の育成促進を目的とした連携協定を締結して、公立の小中学校で実験的なことをしています。これから僕たちの提案する取り組みが、全国の自治体に広がればいいなと思います。

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求める人物像

僕たちはスタートアップ企業なので採用できる人数は限られていますが、大切にしたいのは経歴よりも情熱があるかどうか。情熱があればなんとかなると思います。

僕は「~するべき」という言葉が嫌いなんです。「この一択しかないし、この一択をすれば成功しますよ」っていうのを他者に課してるように思うからです。もしそれが成功しなかったらどうするの?と聞きたくなります。それよりも大切なのは頭のやわらかさ。だから社内でも「これしかない」みたいな話になると、「いやぜったいあるから他にも考えて」とよく言います。

とはいえ『SPLYZA Teams』は本当に最後の一手でした。スタートアップって問題発見と問題解決の連続じゃないですか。問題がよくわからないけどなんか悪い。何が悪いんだろう?みたいな状況で。たいていは、考えられることは全部やった、もうおしまいだと思ってる。だけど、最後に何かもうひとつアイデアがないか、問題は一つでも解決策は無数にあるはずだと言い続けて、見つけた課題に取り組んだ結果です。

だから失敗してもいいんです。僕も失敗してきてるから、失敗にものすごく寛容です。むしろ失敗も経験のひとつにしてほしい。もし同じようなミスが3回も4回も起こるんだったら、起こらない仕組みにすればいい。「気をつける」とか「猛省します」とかいうのも好きじゃないんですよ。それで良くなる確率は上がらないから。それよりも何をするか考えて行動を変えてみてほしいですね。スポーツは正解がないから「課題発見」や「課題解決」を自分で考えなきゃいけない。だからこそ面白いのと同じなんだと思います。

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【URL】
株式会社SPLYZAの公式サイトです。

https://www.splyza.com/

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社名:株式会社SPLYZA
本社所在地:静岡県浜松市中区相生町16-13
設立:2011年
事業内容:アマチュアスポーツ向け映像分析ツールの開発・販売
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