山陰酸素工業株式会社 並河 元社長

”人”に振り切った経営を通して、1人ひとりが幸せを感じられる会社を目指す。

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今回は、山陰酸素工業株式会社 代表取締役社長 並河元 様です。

【Profile】
山陰酸素工業株式会社
代表取締役社長 並河元 

1979年、エジプトカイロ生まれ。島根県育ち。東京理科大学工学部経営工学科卒。アビームコンサルティング株式会社を経て2013年に帰郷、2020年に同社取締役社長及びグループ会長に就任。2015年、ローカルエナジー株式会社取締役就任。並河(なびか)家は、戦国武将の並河易家を祖先とする家で、1783年に建てられたという島根県安来市の自宅は登録有形文化財に指定されている。

目次

高圧ガスと関連機器販売で山陰トップクラスのシェアを誇る

当社は、家庭用・産業用・医療用の高圧ガスと関連機器の販売を主事業とし、電力販売、関連サービス、ハウジング事業まで幅広く提供する、総合エネルギー企業です。

戦後間もない1946年に島根県松江市で創業し、酸素の製造を始めました。以来75年余り、産業用、医療用、家庭用へと事業を拡大しながら、山陰地方の皆さまにガスの供給を続けています。LPガスの直接供給は約2万件、販売店経由の供給は6万〜7万件ほど。グループ企業は3業種12社2組合あります。2022年度は、エネルギー関連事業が34%、自動車関連事業が23%、食品関連事業が43%と、さまざま分野へ進出しています。

2016年4月からの「電力自由化」をきっかけに、新電力分野にも参入しました。エネルギーの自立を目指した地域エネルギー会社「ローカルエナジー株式会社」設立に関わりました。また、地元都市ガス会社4社の共同出資による山陰エレキアライアンスも設立しました。

2023年には、既存事業の基盤強化と新規事業創出の更なる加速化を図り、「CVC推進室」を設置しました。脱炭素・エネルギー及びDX領域に関連するスタートアップとの積極的な連携を通して、自社独自のカーボンニュートラル化サービスや省力化サービスの開発に取り組んでいます。

地元の会社関係ではよく知られた会社ですが、一般市民の皆さんの認知度は決して高くありません。学生からも「就活ではじめて知りました」と言われます(笑)。なにせ、ガスや電気の供給という縁の下の力持ち系の会社ですから。

同級生に影響を受け、会社を継ぐ決心をかためる

中学までは田舎なんて嫌だと思っていたんですが、同級生に同じような境遇の人がいて、いずれは実家に戻って家業を継ぐことを前提に物事を考えているのを見てすごいなと。ただあとを継ぐというのではなく「自分の代ではこんなふうにやってやるんだ」と考えていることに感化されて、大学生の頃には実家を継ごうと思うようになりました。

高校生の頃にはグループとしても会社が大きくなっていくのを感じていたので、大学では経営工学を専攻し、卒業後は経営に近いことができると思い、コンサルティング会社に就職しました。

経営において最も注力したいのは”人”

バリューチェーンの上流に位置するような新規事業開発に積極的に取り組みたいと思っています。地方の会社は、バリューチェーンの中流(物流・流通)や下流(小売・サービス)を担うことが多く、付加価値を生み出しにくいというのが課題です。

バリューチェーンの上流で地域初となるような取り組み、自分たちなりのサービスを提供をしていかないと、会社として差別化し、成長していくことができません。山陰という人口の少ないエリアで成功したビジネスモデルを作れれば、全国どの地方都市でもできると思います。

新規事業にチャレンジする土壌をつくるためにも、最も注力したいのは”人”です。会社のメンバー1人ひとりが主体性を持って、やらされているのではなく「やりたい」と思い、楽しく仕事ができる、充実感のある会社を作っていきたいと思っています。

世の中、デジタルとかロボティクスとかAIとかいろいろありますが、結局それをどう活用するかを考えるのは人です。ガスを配送したり、ガス器具を取り付けたりという仕事は、あと50年は自動化しないでしょう。であれば、人に投資すべきです。

自分の人生の一部として長い時間会社で働くわけですから、充実した時間を送ってもらいたい。それが結果的にパフォーマンスの向上につながっていくと信じています。この10月にはわたしたちが挑戦し続ける姿勢を言語化した「山陰酸素Style Book」とを発表しました。進化をとめないエネルギッシュな企業となるための、4つのスタイル(価値観)をみなで実現していきます。

自分の思いを社員に伝えたいと思い、社内ラジオも始めました。経営方針など社長としての思いや考えを説明する「はだかのげん」というコーナーや「げんさんといっしょ」という社員との対話のコーナーなど、いろいろなコーナーがあります。最近始めたのが「僕のベンチャーアカデミア」で、起業家との対談を放送しています。

古い体質の会社でしたから、こんなふうに人に振り切った経営をするのはかなり思い切ったこと。私が社長になっていなければできなかったかもしれません。世の中的には当たり前のことかもしれませんが、うちとしては結構思い切ったことをやっているとは思います。

鳥取を”課題解決先進県”に

鳥取を”課題解決先進県”にしたいという思いがあります。空き家問題や災害問題、中山間地域の水インフラ問題、タクシーやバスといった公共交通をどうするかなど、地方都市ならではの社会課題がたくさんあります。

大きな課題だと思いますが、鳥取で実現できるビジネスモデルは地方都市でも実現できると思うので、課題を放置するのではなく、課題を解決するために何ができるかということを日々考えています。

そうした課題を解決するために、1つの取り組みとして今年8月、特許技術で水のマイクロインフラ構築を目指す株式会社Waqua(本社:沖縄県うるま市)に出資しました。創造的なイノベーションが起こらないと、地方都市における若手人材の県外流出を抑えられないと思っているので。

1人ひとりが幸せを感じられる会社を作るために

1人ひとりが幸せを感じられる会社になるというのがまず大きなビジョンです。そして10年後にはグループで2000人の規模まで、一緒に働く人を増やすのが目標です。地方経済が小さくなっていく中でも、しっかり仲間を増やしたいと考えています。山陰酸素は100人から150人の増員になるでしょう。実際にこの10年で50人増えており、順調に推移しています。

社員の給与も上げていきたいのですがグループ全体で足並みを揃えようとすると各社難しい事情がありますが、少しずつ上げていければなと。

上記のような計画を達成するためにも、一定の利益をあげている必要があります。そのために私たちは求める人材はまず「いろんなことに好奇心を持ちチャレンジする意欲のある方」。次に「自分の意志やアイディアを伝える姿勢を持つ方」。そして「人とコミュニケーションを取るのが好きな方」です。誰もが安心して発言できる環境作りを目指して、2022年の4月には人事部に人材開発グループを立ち上げました。

私自身は、ポジティブシンキングができる方と一緒に働きたいですね。いろいろな仕事があり、いろいろなお客様がいらっしゃるので、たとえ失敗しても「まあいいか」と前向きに考えられる方。前向きに物事を考えられるというのは性格というよりスキル、習慣づけで、誰でも習得できるものだと思っています。

【URL】
山陰酸素工業株式会社の公式サイトです。

https://www.sanin-sanso.co.jp/

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社名:山陰酸素工業株式会社
本社所在地:鳥取県米子市旗ヶ崎2201番地1
設立:1946年
事業内容:産業用・医療用ガス、LPガス・液化天然ガス(LNG)の販売、電気の販売(小売電気事業者登録番号A0264)、ガス関連器材の販売、空調機器の販売、ガス供給設備設計・施工、住宅リフォームなど
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