千房株式会社 中井貫二社長

2025.01.08 - 2025.02.07

従業員とお客様との“出逢い“を大切に、お好み焼き「千房」が大阪の外食産業を盛り上げる。

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今回は、千房株式会社 代表取締役社長 中井貫二 様です。

【Profile】
千房株式会社
代表取締役社長 中井貫二 

1976年大阪府生まれ。慶応義塾大学経済学部を卒業後、新卒で野村證券へ就職し、14年間勤務する。父である中井政嗣さんが創業した「千房」へ2014年に入社し、専務として社内改革を推し進める。2018年に3代目代表取締役社長に就任。道頓堀商店会副会長、大阪外食産業協会会長といった要職に就き、大阪の食文化の発信に尽力する。

目次

現在の事業内容は?

弊社は全国で「お好み焼き 千房」を展開している企業です。北は北海道から南は九州まで、また台湾や中国など海外にも出店しています。昭和48年12月に父の中井政嗣が創業し、難波千日前に第1号店をオープンして以来、千房は食い倒れの街・大阪を象徴するお好み焼きの店として皆様にご支持いただいてまいりました。

千房には3つのブランドがあり、ベーシックスタイルの「千房」を53店舗、ハイクラス向けの「ぷれじでんと千房」を6店舗、エレガンスクラス向けの「千房Elegance」を4店舗展開しています。その他、近年は他業態にも力を入れています。居酒屋業態の「いやさか」と「ときわ」、おでんの「すみ吉」、わら焼きの「吉野工房」をそれぞれ1店舗ずつ大阪で営業中です。

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社長就任のきっかけ

慶応義塾大学経済学部を卒業後は野村證券へ就職しておりました。当時は証券マンとして非常に充実した毎日を過ごしており、自他共に認める”野村證券大好きマン”だったんです。野村證券には少しも不満はなく、千房を継ぐつもりも全く考えていなかったのですが、37歳の時に2代目として千房を継ぐ予定だった長兄が急逝してしまったため、急きょバトンが渡されることになりました。

突然の出来事に驚きこそしたものの、千房を継ぐことに迷いはありませんでした。野村證券では「いつか役員になる、社長になる」という気持ちで働いていましたが、それでもためらいなく千房を継ぐと決意できたのは、幼少期から受け続けた父の教えがあったからです。

父はいつでも「千房の従業員のおかげで自分たちはご飯を食べられているんだぞ」と話をしてくれました。従業員は家族。従業員に感謝せい。千房の理念を毎日教え込まれてきた私の中には、「千房が困っているなら恩返しをせなしゃあない」という思いしかありませんでした。

そうして入社したのが千房が40周年を迎える2013年。約5年ほど専務として事業や社内の制度などを学ばせてもらった後、45周年を迎えた2018年に社長に就任しました。

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千房の理念

父の時代から一貫して、千房は”出逢い”と”人”を大切にする会社であることを理念に置き続けています。父の「従業員に感謝せい」という言葉に表れている通り、千房は従業員に支えられている会社であり、その従業員もお客様に支えていただいています。そうした従業員との出逢い、お客様との出逢いを大切にし続けることが、千房の根幹を成す理念です。

千房では朝礼で社訓を唱和しています。「出逢いは己の羅針盤 小さな心のふれあいに己を賭けよ そこから己の路が照らされる」という社訓を全員で唱和する姿は、とても現代のものとは思えないかもしれません。しかし、私は今だからこそ「なんかいいな」と思っているんです。

全員で口にするだけですが、毎日繰り返すうちに自然と頭の中に染みこんでいきます。今ではアルバイトから外国人留学生まで全員暗唱できるようになったはずです。今の時代には古臭くてダサイかもしれませんが、この社訓はいつか最後に向かう場所を教えてくれる羅針盤になると確信しています。

一方で、会社が従業員に出逢いと人の大切さを説くなら、会社は真に従業員を大切にしなければなりません。入社して最初に参加した経営会議の場で、私はこのような発言を耳にしました。「上期は赤字だったのでボーナスはゼロ」私は驚き声を挙げました。従業員はがんばっていないのか、赤字は経営陣の責任ではないのかと。銀行からお金を借りてでもボーナスを払うべきという私の主張に経営陣は皆驚きましたが、私は銀行に掛け合い資金を調達し、従業員へボーナスを支給しました。

これまで赤字時にはボーナス無しが当たり前だった従業員は、支給の報にびっくりしていました。しかし、ボーナス効果で従業員が奮起してくれたおかげか、下期で上期の赤字分を取り戻し、通年での予算達成を果たしました。この一連の出来事は、人を大切にすれば大切にした分だけ応えてもらえるという千房の理念の証明になったと思っています。

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地域で生きる企業として

千房は難波千日前に第1号店をオープンして以来、大阪ミナミに根差したお好み焼きの店として歩んでまいりました。国内有数の食い倒れの街であるミナミを活性化させることが地域の皆さんの幸せにつながりますので、常に千房が大阪のためにできることを考え取り組んでいます。

私は現在道頓堀商店街の副会長を務めております。道頓堀は日本全国で最もインバウンドが多いと言っても過言で無いほど、大いに盛り上がりを見せているエリアです。千房の道頓堀店では1日1,000名以上のお客様にご来店いただきますが、そのうち9割を外国人のお客様が占めています。

それだけに、コロナにより一番マイナスのインパクトを受けたのも道頓堀です。インバウンドに頼っていた分打撃も大きく、売上はコロナ前の3%程度まで下がりました。3%減ではなく、97%減です。

当然店を開け続けるほど赤字が膨らむ状態にはなりましたが、我々は看板を下ろしませんでした。こういう未曾有の危機だからこそ、街の明かりを絶やしてはならない。店を開け続けることそのものが必要であると考え、クローズせずにオープンし続けたんです。

その甲斐あってか、現在はインバウンドが戻り売上はすでにコロナ前以上。ミナミもすっかり活気を取り戻しました。私ども同様に元気を取り戻した店や企業がミナミには多くありますので、皆さんと力を合わせてさらにミナミを盛り上げていきたいと考えています。

現在、私が代表を務めております一般社団法人大阪外食産業協会では、2025年の大阪・関西万博へ民間パビリオンを出展する計画を進めています。食とエンターテイメントの街である大阪の魅力を世界に伝える絶好の機会に、会員が一丸となって準備に取り組んでいる最中です。

大阪外食産業協会は、私だけでなく、外食産業の社長が皆さん手弁当で集まり、大阪の盛り上がりのためだけに尽力してくれています。自分たちの地域を盛り上げたいという思いが集まるのは、大都会ではない地域ならではの強み。「偉大なる地方」大阪の持ち味である情熱と人々のネットワークを武器に、大阪の良さを多くの方々に知っていただけるようにお手伝いしていきたいですね。

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将来のビジョン

ようやくコロナの影響も落ち着き、多くの人が街に戻ってきました。しかしコロナによって根底から覆された外食産業に対する価値観は今も変わらず、常に「外食産業って本当に必要なの?」という問いかけにさらされ続けています。

我々もまた常に自問自答を繰り返し、外食産業の存在価値を探し続けています。中食に可能性を見出し、デリバリーやテイクアウトといったサービスを提供するといった模索を繰り返してきました。その中で千房がたどり着いた答えは「飲食店としての価値を高めること」。そのために必要なのは「従業員が満足できる職場であること」であるという、千房の原点に行き着きました。

お客様から評価される店であるためには、従業員の高いホスピタリティが必要です。では従業員のホスピタリティはどこから生まれるのか。その答えは、従業員が満足して働ける職場環境にあると考えています。千房で働けて楽しい。千房の従業員であることがうれしい。従業員にそう思ってもらえる関係を作れたときにはじめて、お客様へのホスピタリティが生まれるのです。

私は千房の売り上げを何億円にしよう、店舗数をいつまでに何店舗にしよう、従業員規模を何千人にしようという目標は持っていません。あくまで千房の従業員が幸せに、やりがいをもって働ける環境を作るのが目標。これは父の時代から一切変わらず、これからも変わることがない私自身の理念として貫いていきたいと思っています。

願わくば、千房のアルバイト経験者が就職をするときに「いいところで働いていたね」と評価してもらえるようになりたいですね。働いている間だけでなく、卒業した後の従業員も幸せになれるような、そんな会社になるようしっかり社徳を積む真っ当な会社で居続けなければなりません。

千房が求める人材とは

私は飲食業を「全人格格闘技」と表現しています。全ての人格をさらけ出して戦っていかないと勝てない格闘技。お客様にご満足いただけるサービスを提供するためには、豊富な知識やホスピタリティを兼ね備えた「人間力」が必要であると、私は考えています。

その人間力はどのように磨いていけばいいのでしょうか。私が考える人間力獲得の鍵は「人と人とのコミュニケーション」にあります。同じチーム内でのコミュニケーション、違う職種の同僚とのコミュニケーション、そしてお客様とのコミュニケーション。さまざまなコミュニケーションを重ねることでのみ人間力は磨かれていき、素晴らしいスタッフへと成長していくでしょう。

このように聞くと「入社の入口段階で優れたコミュニケーション能力が必要だ」と感じられるかもしれませんが、私はそうは考えていません。千房は毎年全国から30~40人ほどの高卒社員を採用していますが、その全員が優れたコミュニケーション能力を持っているわけではありません。中にはむしろコミュニケーションが苦手という人もおり、人前で口を開けないような子もいます。そんな彼・彼女らがミナミのど真ん中でコミュニケーションを重ねるとどうなるでしょうか。

ある店舗を視察したときに私が見かけたのは、入社当時は誰とも会話できなかった子が堂々とお客様と談笑する姿。私は思わず「最初と別人みたいじゃないか」と声を掛けました。このような変化は、決して一人二人の特別な例ではありません。おとなしかった子が現場で磨かれ、生き生きと働く姿を見せてくれるたびに「人って変われるんだな」と目頭を熱くさせてもらっています。

千房では、創業当初から元受刑者の受け入れを積極的に行っています。この取り組みは千房の社会貢献であると同時に、人材育成の根幹であると考えています。かつて一度は道を踏み外した人が社会に戻り、実績を上げて店長や幹部へと出世していく。高卒社員が現場で変わっていくように、元受刑者も変わります。つまるところ、人は身を置く環境によっていくらでも変化できるのです。

繰り返しになりますが、千房は”出逢い”と”人”を大切にする会社です。創業から50年守り続けてきたこの理念は、これからも変わりません。誰かを大切に思い、誰かに大切に思われる会社であり続けるよう、我々はこの先も人とのつながりを大切にしていきたいと思います。

千房株式会社の求人情報

千房株式会社では、店舗運営を担う正社員スタッフを募集しております。

千房株式会社に入社し一筋20年。
現在は本店を含む大阪の3店舗を管轄するエリアマネージャーとして活躍する石垣さんにお話を伺いました。

私は、高校を卒業し、新卒で千房に入社をしました。

地元宮城県内の店舗に配属されまして、そこで約2年間ほど調理や接客の基礎を学ばせて頂きました。その後、札幌の店舗に店舗責任者として異動させて頂き、店舗運営の経験を1年ほどさせて頂きました。店舗運営の経験をしたことにより、主任の役職を頂くことになりまして、横浜の店舗に異動。比較的大きな店舗で二番手として、店舗運営の経験を積み、入社してから5年目の時に店長試験に挑戦して、初めて責任ある店長の仕事を任せて頂きました。その後は、創業の地でもある大阪の店舗にて店長を務めさせて頂き、今はエリアマネージャーとして、店舗運営だけでなく、教育や研修にも携わらせて頂いております。

入社当時は、宮城県に3店舗ほどお店が出店していたものの、正直、まだ東北地方にお好み焼き文化はありませんでした。なので、どうしてもお好み焼き自体のイメージがTシャツのおばちゃんが賑やかにお店を切り盛りしているイメージがあったのですが、千房は店舗が綺麗で清潔感もあり、従業員の方の接客も丁寧で、高級感というかいい意味でイメージが違ったことが印象的でした。

実際に働いてみてからも、20歳前半くらいの若い方が店舗運営などをしており、年齢に関わらずに色々な挑戦を受け入れてくれることを魅力に感じたのを覚えています。育成にも関わる様になったいま、自分が感じた魅力は無くさないようにしたいと思い、教育や研修には力を入れています。入社して2、3年で主任や店長に抜擢される若手も出てきています。もちろん役職が全てではありませんが、新しい挑戦をすることで見える景色が変わることもありますし、それを望んでいる従業員がいることも確かなので、その挑戦を最大限に尊重したいと考えています。

当社には、「従業員は家族」という教えがありまして、助け合うのはもちろんなのですが、良いことも悪いことも、みんなで分かち合うという文化が根付いています。これはとあるスタッフから聞いた話なのですが、特に役職もない従業員のお父様が亡くなってしまったそうなのですが、その当時の社長(現会長)が、わざわざ葬式に足を運んでくれたらしいです。ただ、「家族」という距離感が時代と共に変わるように、千房のなかでも変えることを意識しています。人によってパーソナルエリアの広さって違うじゃないですか。こういった距離感の取り方というか、コミュニケーションはマニュアル通りを求めない千房の良さが現れていると感じています。

「家族」という観点でいうと、お客様も同じです。接客である以上、お客様を“おもてなし”させて頂くというのは当たり前なのですが、我々従業員がお客様から親のように育てて頂いているというのもあります。ただ、それってマニュアル的なコミュニケーションでは、築けない関係性だと思っておりまして、未熟を知って頂いたうえで、それでも精神誠意お客様ひとりひとりに向き合って接客をすることで生まれる関係性なのかなと思っています。

一時期、東京都下の町田にある店舗で、私が社員1人で店舗運営をしている時があったのですが、私が休日の日はアルバイトだけで店舗を回している状況だったんです。立地上もあるのですが、常連のお客様が多い店舗でして、多い人では週5日で通って下さるような方もいました。その常連さん達が、私が休みのときはアルバイトの子達がしっかり仕事をしているか見てくれていて、何かあったら電話をくれたり、常連さんと飲みに行ったときに、「この間はあのアルバイトの子がこんな接客をしていて、よかったよ!」とか報告をしてくれたりして…その常連さんたちからすると、千房が“第二の家”みたいになってるんだなって、そういう店舗作りをスタッフと出来たのは今でも良い思い出であり、自分の自信にも繋がった出来事でした。

飲食業で働かれる方のなかには、将来的に自分でお店を構えたいという方も多いと思います。他の飲食店さんでは、だいたいが調理とホールが分かれていたり、料理長と店長が別でいたりすると思うのですが、当社は責任者クラスは料理長兼店長になります。

接客が得意でも調理が苦手だったり、調理が得意でも接客が苦手だったり….どちらとも出来る様になっても、次にはスタッフのマネジメントで苦戦したり…苦労することも多いですが、どちらも責任者レベルの経験が出来るという点は、独立した後に役に立つ経験になるかと思います。

観光地が近い首都圏の店舗ですと、新規のお客様が多いので、居心地の良い空間作りというよりは楽しんで帰って頂くように対応させて頂いたり、地方の店舗とかだと常連のお客様が多いので、来ていただる方にまた来たくなる様な空間作りを意識したり…店舗ごとに違った経験ができるのも良い点だと思います。

「粉もんといえば大阪」舌の肥えた大阪人に愛され続け、50年以上にわたり「粉もんの歴史」を紡いでいる千房には、お好み焼きの味だけでなく、従業員の人間味が隠し味になっているに違いないです。

千房株式会社の求人要項

職種名
店舗スタッフ

雇用形態
正社員

試用期間
約3カ月間

勤務先住所
店舗により異なります。

休日
・公休月8日(シフト制)
・特別休暇(夏季5日、冬季3日、誕生日休暇1日)
・有給休暇
・その他慶弔休暇等あり

勤務時間
店舗により異なります。
(9:30~23:30の間でシフト制)

給与
基本給207,600円~
※限定社員以外の社員給与

手当/待遇
・職能手当
・割増残業手当(残業代は1分単位)
・深夜残業手当(22:00以降)
・休日出勤手当
・食事手当
・交通費支給(上限月10万円迄)
・社会保険完備 など

応募資格
・18才以上のかた

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