農業生産法人 グリンリーフ株式会社 澤浦彰治 代表

「感動農業」を理念に、農作物の栽培から加工、流通までを一貫して行う。

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今回は、農業生産法人 グリンリーフ株式会社 代表取締役 澤浦彰治 代表です。

【Profile】
農業生産法人 グリンリーフ株式会社
代表取締役 澤浦彰治 

1964年、群馬県昭和村生まれ。地元の農業高校を卒業後、群馬県畜産試験場での研修を経て就農。その後こんにゃく芋や野菜相場の暴落を受け、自分たちで価格を決めるためにこんにゃくの加工・販売を開始。1994年には法人化し、代表取締役に就任する。この他、野菜生産者と連携して立ち上げた株式会社野菜くらぶなど、複数のグループ企業を設立。「感動農業」「人づくり、土づくり」の理念のもと、多角的な視点で経営手腕を発揮している。

目次

グループ一丸で6次産業化を推進

弊社の事業内容は、有機農産物の栽培や加工、販売です。こんにゃく芋が主軸で、農場内にある自社工場でこんにゃく製品に加工しています。国内で流通している有機栽培のこんにゃくのうち、7割ほどのシェアを占めていますね。またホウレン草や小松菜、チンゲン菜なども栽培する他、冷凍野菜や漬物なども製造しています。

農産物の栽培から加工、流通までを一貫して行うため、各部門に特化した関連企業も複数立ち上げてきました。各社が連携し、グリンリーフグループとして6次産業化(※1)を進めており、2023年現在は合わせて240人ほどの従業員が働いています。
(※1)1次産業としての農林漁業と、2次産業としての製造業、3次産業としての小売業等の事業との総合的かつ一体的な推進を図る取り組み。

例えば「株式会社野菜くらぶ」は加盟している野菜農家が栽培した野菜販売業務を担う生産者団体です。安定供給のために他産地とも連携し、今は70人ほどの生産者が所属しています。新規就農支援にも積極的に取り組んできました。

「株式会社四季菜」は弊社の100%子会社で、小松菜やホウレン草を有機栽培で生産しています。

「株式会社モスファーム・サングレイス」では、大手ハンバーガーチェーンのモスバーガー向けのトマトを、群馬県昭和村と静岡県菊川市の農場で生産。首都圏や沖縄県などの店舗を中心に供給しています。

この他、太陽光発電事業やグリンリーフグループの社内託児所の運営などを担う「ビオエナジー株式会社」も立ち上げました。ここでは、グループ内の企業で働く外国人材の就業や日常生活をサポートする事業にも取り組んでいます。

農業は資本産業なので、資本金の調達が非常に重要です。ただ農産物の生産から販売までの全てを1つの会社でやろうとすると、資金繰りが大変なんですよね。目的がそれぞれ違うのに1つの会社にまとめてしまうと、事業がうまく回らなくなるリスクもある。分社化したのにはこういった背景があります。

自分たちで価格を決められる農業へ

弊社は1994年(平成6年)に家族経営から法人化し、それと同時に私が代表取締役に就任しました。そもそもは、私の父親が1962年(昭和37年)に昭和村で農地を買って農業を始めたところからスタートしています。

私は農業高校を卒業後、群馬県の畜産試験場での研修を経て、実家に戻って就農しました。農業の道に進むことに迷いはありませんでしたね。

その頃、わが家では養豚も営んでいました。しかし、GATT・ウルグアイラウンドで牛肉の輸入自由化が決定。他にもさまざまな契機が重なり、当時の経営規模でこれ以上畜産に投資しても将来性がないと判断し、養豚を辞める決断をしました。そして、豚を売却して残った資金を元手に、製品加工を始めたんです。

自分たちで価格を決められる農業を目指そうと、こんにゃくの加工・販売にも乗り出しました。こんにゃくを直接販売していく中で取引先から野菜も販売してほしいという要望が出てきたので、野菜生産者たちと協力して野菜くらぶを設立し、現在に至ります。

最近では、作業を効率化して生産性を上げるため、自社開発のITシステムも導入しています。

若手の新規就農者や、直接販売など多様な経営に取り組む生産者にとって、ITの活用は当たり前の時代です。パソコンを操作してExcelが使えないと、もはや農業はできません。だから、うちでも従業員を対象にExcelの勉強会を開き、スキルアップの機会を設けています。

足で稼ぐ採用で定着率アップ

私たちは「感動農業」と「人づくり、土づくり」を経営理念に掲げています。生産や加工、販売といった各事業はもちろん、従業員の採用などの全てがそこを出発点にしています。

求める人物像は、この理念に共感してくれる人ですね。それに尽きます。

採用には苦労もありました。6~7年前までは大手就活サイトを利用して人材を募っていました。しかし、人数は集まるんですが辞めてしまう人も多く、なかなか定着しなかったんです。

だから就活サイトには頼らず、合同会社説明会に出展したり、自前の採用ホームページを充実させたり、入社した先輩から後輩の学生たちにPRしてもらったりと、足で稼ぐ方向にシフトしました。するとおもしろいことに、そこから良い人材が採れるようになったんです。採用後の離職率も、12%から5%へと大幅に下がりました。

就活サイトを使っていた頃に比べると、全体の応募人数は確かに減りました。その反面、会社のことを能動的に調べた上で、明確なビジョンを持って応募してくれる人材は増えたように感じます。それが定着に結びついているのではないでしょうか。

また、うちの社員の年齢別の構成を見ると、バブルの頃やここ10年ほどの採用難とされる時代の方が層が厚いんです。逆に、買い手市場といわれる就職難の時代は定着率が悪い。どちらの場合でも採用活動は同じように続けていたんですけどね。一般的な会社とは逆で、採用難の時の方が良い人材が採用できています。

きっと、就職難の時代だとどこでもいいから就職することが目的になってしまい、自分がやりたいことをきちんと考えずに会社を選んでしまうんでしょうね。それでいざ入社したら、やりたくない仕事に直面して辞めていく。

一方、採用難の時代だと売り手市場という追い風があるので、自分のやりたいことが実現できる会社をじっくり選ぶことができるのではないかと分析しています。

ユニークな人材が活躍中

2023年現在、私たちのグループでは多くのユニークな人材が活躍しています。

京都の大学を卒業して野菜くらぶに入社した女性社員は、もともとモスバーガーへの就職を希望していました。そして採用面接の時に、生産者と連携して野菜を安定調達している農産部門の仕事に興味があると志望動機を語ったところ、「それなら野菜くらぶという会社の方が向いているかもしれない」と面接官から勧められたそうです。

彼女はそれをきっかけに野菜くらぶのことを調べ、応募してくれました。面接でそれまでの経緯を聞き、「これこそズバリ私がやりたかったことです」と熱心に言われたら、もう採用するしかないですよね(笑)。

現在のこんにゃく加工工場の工場長代理は、コロナ禍の真っ只中で中途採用しました。もともとホテルの契約社員として働いていましたが、新型コロナの影響で失職。その後、食に関する仕事がしたいと考えるようになり、いろいろな農業法人を訪問した結果、うちを選んでくれました。

埼玉の大学で栄養学を専攻していた社員は、生産から加工、販売まで一貫して取り組む事業内容に興味を持ち、第一希望で応募してくれました。いずれは商品開発に関わりたいという目標に向かって頑張っていますよ。

また、私たちのグループでは外国人材も安定的に採用しています。出身国はベトナムやタイなどが多いですね。私も採用面接には同席しますし、現地に足を運んでご両親とも面談するようにしています。

地域活性化に向けた2つのカギ

地域を活性化するためには、まず人を増やす必要があります。

うちの社員の3分の2ほどは群馬県外の出身です。初めはアパートなどを借りて暮らしますが、何年か経つと家族ができ、家を建てて定住する例が多いです。社員の子どもは、昨年は4人、今年は3人産まれました。こういった形で、人口の維持や増加に貢献できているのではと思います。

地域活性化のためにもう1つ不可欠なのが、いかに外貨を稼ぐかです。地域が豊かになるということは、ようするにお金が外部から入ってくるということです。そして、地域の民間で外貨を稼いでいける産業は、農業などの一次産業や観光業、エネルギー産業の3つしかありません。

うちは取引先の99%以上が県外なんですよ。一方、商品は全部地元の土から取れた原料から作っています。その売上が50億円なので、県外から稼いだ50億円を社員の給与や生産者への代金という形で地元に分配しているわけですね。

農業の生産だけで稼げるお金を1としたら、そこに食品加工が加わると1が4になる。4倍のお金が入ってくるわけですよ。農業はそれだけのお金を外から稼ぎ、地域の中で循環させて経済を活性化することができる産業なんです。これは農業の大きな役割であり、果たすべき使命だと思います。

【URL】
農業生産法人 グリンリーフ株式会社の公式サイトです。
https://www.akn.jp

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社名:農業生産法人 グリンリーフ株式会社
本社所在地:群馬県利根郡昭和村赤城原844-12
設立:1994年(創業は1962年)
事業内容:有機農産物の栽培・加工・販売
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