常南交通株式会社 笹目 瑛司社長

家業のバス会社を継いだ決意。ニーズ減少の中でも新たなスキームを作る。

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今回は、常南交通株式会社 取締役社長 笹目瑛司 様です。

【Profile】
常南交通株式会社
取締役社長 笹目 瑛司

1992年茨城県つくば市生まれ。早稲田大学卒業後、新卒でウォンテッドリー株式会社に就職。ウォンテッドリー社が上場後、同社を退職。その後、2社での勤務を経て、2019年に常南交通株式会社に入社。赤字事業だった日本語学校と国際事業を立て直し黒字化へ。2023年6月取締役社長に就任。

目次

現在の事業内容は?

旅客運送業、旅行業、福祉事業、日本語学校、人材派遣事業などを展開しています。なかでもメインの事業はやはりバスの旅客運送業になります。ただ、バスは人口減によってニーズの減少が予測されますので、新規事業に力を入れないといけないと考えています。

一方で、バス事業から新規事業に切り替えていくかというと、そういうことではなくて、今の運転手の方の平均年齢から考えると、バスの運転手さんも引退されて、なり手が減っていくなかで、国際事業で現地で外国人の運転手を育てていき、将来、外国人の運転手も認められるであろうことを見越してバス事業もしっかりやっていきたいです。

バス事業というのは、究極のドミナントで、距離と時間なんです。
例えば、日立市の学校さんが「バスが使いたい」となったら、つくば市にあるバス会社さんよりも日立市のバス会社さんを選びます。その方が安いからです。
なので、バスの伸びのキャップはつくば市この周辺ニーズになるので、今から倍増するかといったらそれは難しいですね。

ただ、先程の運転手の話です。運転手さんのなり手は減っていっているので、まだどの会社さんもやっていない、外国人の運転手を現地で育てて、日本で運転手になってもらうというスキームを作ることができれば、そのスキームを他社さんで使っていただくという事業ができるかもしれない。

まだ外国人の運転手は法的に認められてはいませんが、人口減でなり手も少ないなか、地域の社会インフラとしてニーズはなくならないバスに関して、そういった形でも貢献できるようになることが理想だと考えています。

あとは、バスのシステムを作りたいと考えています。運転手はもちろんのこと、バスの事務の方々もやることが結構あります。
そこで、単純に人員増ではなく、システムで効率化して、運転手さんはじめ社員の給料に還元していきたいと思っています。地域の会社はどうしても年収が低いという問題がありますが、給与に還元して年収を上げていきたいですね。
そして、そのようなバスの運行管理の効率化につながるシステムができれば、他社さんにも使っていただきたいと考えています。

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社長就任までのエピソード

大学を卒業してから、ビジネスSNSのWantedly社に新卒で入社して、その後、2社での勤務を経て、(弊社で)国際の事業をやるとなって、家業に入りました。
具体的には、2019年に家業に入り、管轄は日本語学校とその国際部門でした。
実は私が家業に入った時は、日本語学校と国際部門はかなりの赤字事業でした。そこでまず、現状把握から入り、改善できるところは、全て自分で手を動かして改善して、事業の立て直しを行い、黒字化にまでもっていきました。
その後、1年半くらい、様々な関係者の方とのコミュニケーションを重ね、改善を続け、先月(2023年6月)取締役社長に就任しました。

黒字化に向けては、例えば、96人入る学生寮があるのですが、コロナで10人くらいしか住んでいなかったんですよね。そこで、講習センターという形で新しい事業として、教育事業を展開したりなどしました。

私は3代目になるのですが、過去にもいろんな苦難があったようで、今も頑張ってくれている取締役の2人がとても頑張って乗り越えてくれたんですよね。今回私も事業の立て直しを行いましたが、この取締役の2人がいるからこそ、常南交通はすごい会社なんですよね。

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後を継ごうと考えたのはいつ?

大学4年の時ですかね。就活するにあたっては、自分はなぜその会社で働きたいかって、自己分析から適職を見出すみたいなことをやりますよね。ただ、まだ社会人経験もあるわけではないので、どうしても想像で作り上げていくみたいとことがありますよね。周りも含めてそういった状況のなかで、「いや待てよ、自分が一番やるべきものって家業だろ」って思ったんですよね。「自分の血が流れてるんだから、やらない理由はない。むしろ、これ以上にやるべきものがこの世に存在するのか」ってことに気づいたわけです。あと、ちょっとエモーショナルなのですが、「笹目の血を絶やさない。俺がやるしかない。やらない理由はない」と素直に思ったんですよね。

ただ、すぐには家に入らず、新卒でWantedly社に入社したのは、シンプルに上場を経験したかったのと、ご縁があったからですね。Wantedly社には大学4年の10月からインターンとして勤務していました。

Wantedly社での勤務経験があったからこそ、より家業を継ぐことにポジティブになった側面はあります。それは、ファイナンスです。スタートアップはエクイティファイナンスが主流ですが、地方企業は借り入れのデッドファイナンスが基本です。弊社もそうですが、地方企業って歴史がある企業が多く、信頼残高があるんですよね。なので、設備投資など、何か投資しようと思ったらきちんと借り入れができる。それを考えると、スタートアップで0から立ち上げて資金調達していくよりも、基盤のある地方企業での経営の方がやりやすいのではないかと思います。

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経営において大切にしている考え方

地方の会社って、ほぼ終身雇用と同じになると思うんですよね。
転職しようと思っても選択肢が多くあるわけではないですし、弊社のように具体的にこの仕事っていうふうに決まった仕事になっていることも多いですし。なので、終身雇用できる環境を作らないといけないと考えていますね。
働いて満足感が得られる職場は作っていかないとなと思ってます。長く働いてほしいので、そういった環境を作っていきたいですね。
昔ながらの家族経営とまではいかないかもしれませんが、そういったものはしっかりやらないといけないなと思います。

別の視点で言えば、もっと「常南交通で働いて良かった」って思ってもらえるような会社にしていかなれければならいとも思いますね。例えばスクールバスが休みになる夏休みの期間を使って、何かボランティア活動など地域に貢献するなどの取り組みなどによって、常南交通が地域に支持されて、働いている社員が誇らしくなるような会社にしていきたいですね。

あとは、経営においてというよりも社員に大切にしてほしい価値観としては、当たり前のことを徹底する大事さですかね。
バスの運行って毎日同じことの繰り返しですよね。スクールバスにしても貸切バスにしてもきちんと時間通りに行って時間通りに帰ってくる。バスって間違いなく地域のインフラであって、インフラというのは当たり前が当たり前で有り続けなくてはならないので、その当たり前の徹底を大事にするということですね。
一方、インフラとしての当たり前の徹底は大事なのですが、新規事業にもチャレンジしているので、挑戦するマインドや行動も大切にしていきたいですね。私としては、挑戦することを応援していきたいということにも強い思いがありますね。

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地域への思い

つくばって最高なんですよ。研究都市というのもあって、優秀な学生がたくさんいます。
ただ、そういった学生さんたちが就職する時にどこに行くかというと東京の企業に就職するわけですよね。そういった点では、つくばでも就職したいと思える受け皿を作りたいですよね。その受け皿に弊社がなれればいいなと。例えばバスのシステムを作る時に筑波大の学生さんがエンジニアのインターンとして働けるなどですかね。

地元に残りたいという学生も必ずいると思うので、「こんな会社があるんだったら、わざわざ東京に行かなくても地元でこの会社で働きたい」って思えるような会社にしていきたいですよね。もちろん、東京の会社に比べて待遇面で見劣りすると、それはそれでやはり東京の会社が良いとなってしまうので、先程話したようにシステム化などで経営効率を上げて、きちんと社員に東京の会社同等の給与を払えるような会社にしていかないといけないとも思います。

一方で、自社が受け皿になれれば一番いいですが、そうでなかったとしても、そういった若者が地元でも活躍できるような何らかの環境創りをして、地域に貢献できるようにしていきたいですね。

地域の企業として取り組みたいこと

二つあります。
これは弊社がバス会社だからということからくるものでもあるのですが、一つは渋滞の解消ですね。つくばってバス渋滞が多いんです。それは、駅の方に研究所エリアがあるんですけど、そこが混むんですよね。
そこに対して、地方の公共交通性っていう観点で考えても利便性で考えても、シャトルバスを出した方がいいだろうなと思うわけです。そういったいわゆる企業送迎系のところを取りまとめていきたいですね。
二つ目は、お子さんたちの保育園送迎を行う流山市のモデルですね。つくば市はお子さんが増えているので、流山のように駅でお子さんを預けて、お子さんはシャトルバスに乗って、各保育園で降りて、お父さんお母さん帰ってくるタイミングで、帰りは各保育園を回ってお子さんを乗せて駅に戻ってきて、駅の託児所にお父さんお母さんがお子さんをお迎えに行くという、非常に効率的でお父さんお母さんにとってありがたいモデルですよね。そういったことをつくばでもやりたいですね。

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今後のビジョン

地元であるつくばに貢献できる事業や、社歴のある中小企業である強みを活かして挑戦をし続けたいと考えています。

私に代替わりしたこともあり、これから若手の採用を行い、うまく成功している地方の中小企業のモデルケースになるような会社を目指していきたいですね。

古い会社なので、いろいろなしがらみはありますが、それを変革することは通常のスタートアップでは体験できない事も多々あります。スピード感を出すのは難しいですが、逆にどうやったらスピード感を出せるかにトライをできる環境ですからね。

常南交通が求める人材像とは?

さきほどの話に重複しますが、挑戦できる人材ですね。事業を伸ばすための挑戦。
常南交通は社歴がありますので、社歴のある中小企業である強みを活かして挑戦をし続けてほしいと思います。そして、挑戦する人がきちんと評価される会社でありたいと思っています。
あとは、長く働いてほしいですね。つい先日発表がありましたが、つくばは人口増加率全国1位なんです(総務省公表の住民基本台帳に基づく人口動態及び世帯数調査による)少子化で、全国的には地方は転出超過がほとんどのなかで、これはすごいことです。人が増えている、多くいるというのはそれだけでチャンスです。
そんな魅力あるつくば市の地域に根づいた会社だからこそ、長く働いて、つくば市に長く貢献していこうという志のある人材に弊社にきてもらいたいですね。

【URL】
常南交通株式会社の公式サイトです。

https://www.jyonankotsu.com/

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社名:常南交通株式会社
本社所在地:茨城県つくば市榎戸433-2
設立:1973年
事業内容:旅客運送業(一般貸切・特定)、旅行業、福祉事業(障害者グループホーム・障害者ヘルパー派遣・障害福祉サービス・障害者相談支援事業)、日本語学校、人材派遣事業
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