青島クラフト株式会社 共同創業者兼CDO 梅原卓也様

宮崎にいるからこそできる味とらしさを大事にし、地域に愛される製品開発を。

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今回は、青島クラフト株式会社 共同創業者兼CDO 梅原卓也 様です。

【Profile】
青島クラフト株式会社
共同創業者兼CDO 梅原卓也 

北海道小樽市出身、東京農業大学卒。
大学の研究室でインターネット黎明期のHTMLに出会いパナソニック携帯電話の開発プログラマに。2001年、当時25歳で、WEB制作とデジタル教材の制作会社 株式会社グラブデザインを創業。2021年6月、東京都から宮崎市へ移住。2022年より青島クラフト株式会社の事業に携わり、ビール醸造と品質管理、デザインなどクリエイティブ責任者を担当。
東京と宮崎の2拠点で生活し、日本一のスナック集積率の宮崎のニシタチで「全日本スナックフォーラム」を発起する。

目次

現在の事業内容は?

クラフトビールをはじめ、クラフトコーラや自家焙煎コーヒーなどの飲料、グッズなど、宮崎を愛する方たちに笑顔と幸福を提供できるような商品を製造しています。ビーチやサーフィンなどのマリンスポーツ、ゴルフ、プロ野球やサッカーラクビーなどの合宿が行われる、宮崎ならではスポーツのカルチャーや環境を大切にしています。

弊社設立は、代表取締役社長の魏敦祥(ぎ・のぶよし)と取締役の長野徹(ながの・とおる)の2人が、宮崎・青島のクラフトビールを造ろうと思ったことがきっかけです。

彼らの考えに、CMO(最高マーケティング責任者)の篠崎 功(しのざき・いさお)と、CDO(最高クリエイティブ責任者)の私、梅原が賛同し、株主となる方のご助力もあって創業スタートすることができました。

商品を製造・販売するだけでなく、商品を通し、宮崎に還元できるような取り組みを検討・実施しています。

 青島クラフト誕生までのエピソード

そもそも、なぜ彼らがクラフトビールを造ろうと思ったのかお話しさせてください。
きっかけは、宮崎の青島で毎年開催されている「みやざき青島国際ビールまつり」でした。
宮崎の青島では、毎年「みやざき青島国際ビールまつり」を開催しているんです。

これは、2004年に中国の青島(チンタオ)と宮崎市が観光友好条約を締結したことをきっかけに、翌年2005年から日中友好の記念式典として始まったイベントです。
青島ビール(チンタオビール)に代表されるように、中国の青島はビール文化が活発で、世界のビールを楽しむお祭りをしているんです。同じく、宮崎の青島でもビールのお祭りを開催していこうということでアイデアが生まれたようです。以降、人気のあるお祭りとして続いています。

そして、ポイントはここです。「ビールまつりを開催しているのに、ここ青島にはビールがないのはなぜか」。長野がそこに疑問を持ったこと、それがクラフトビール造りの始まりになったんです。

私が彼らの考えに興味を持ち、実際に会うことになったのは2022年の10月でした。

クラフトビールを造りたいという意欲はあるものの、具体的なことはまだ決まっていないことがわかりました。ラベルデザイン、瓶の手配をどうするか、販売予定日、ほぼ未定。醸造免許も、売り出すビールも、まだ何もできておらず形になっていない状態だったんです。

理想はあるけれども、具体案に起こすことができていなかったんです。

顔を合わせて話し合い、様々な案を出し、実現に向かって動こうと試みましたが、当初はそれぞれの意見が噛み合いませんでした。
特に、宮崎を地元として住み続けている魏と長野、移住してきた私は、立場が異なっていることあって、わかり合うまでに時間もかかりました。
魏と長野には「宮崎に住んできた人間としてこれを実現したい」という強い意志があり、私には「そんなあなたたちに”give”したい」という気持ちがあったのですが、チームとして同じ方向を向くためにはお互いの言葉だけで解決できないところがあったんです。

うまくコミュニケーションが取れるようになったのは、実際に様々な取り組みを一緒に行うようになってからですね。皆でビールの試験仕込みを行ったり、クラフトコーラを売りに出たり、私の声がけで千葉県鋸南町のクラフトビール醸造所「鋸南麦酒」の元工場長の方の技術指導を受けたこともありました。

作業などを共にし、お互いの信頼を築き上げ、チームになっていくとともに、クラフトビール造りの計画も具体的な取り組みへ移していけるようになりました。ビジョンを共有し、明確なものに落とし込み、それぞれの得意な分野の行動に移していけるようになったんです。
魏や長野の理想するビールそのものの追求はもちろん、瓶やロゴのといった商品のデザインにも、しっかりと”らしさ”を反映したい――作るもの全て、一から何度も試行錯誤を重ね、意見し合い、改良してきました。

様々なことを話し合えるようになると、「クラフトビールを通して将来的にどういったことを成し遂げたいか」という長期的なビジョンも明らかになっていきましたね。資金面など、ビジネス的な課題もありましたが、クラウドファンディングを通して、約215万円を1週間程で集めることができました。

青島クラフトが商品を販売できる会社になるまで、それぞれが理想に向かって無償で”give”し続け、とにかく手探りで様々なことをやり続けていたんです。

信頼関係ゼロから始まった取り組みでしたが、結果的にはそれぞれが熱量高く取り組み、頼り合い、ゴールを目指せるチームになったんです。そして、商品が完成し、販売先との相見積もり、これから売り出す1万本という瓶の発注、販売の日がやってきた――。

これが、青島クラフト誕生の経緯です。

冒頭でご紹介したように、現在では様々な商品を手掛けています。クラフトコーラや、グッズ販売、他にも様々なシーンで楽しんでいただけるような新商品を企画・展開しています。最近私が仕込んだビールだと、宮崎カーフェリーで飲めるオリジナルビールがあります。そこでしか飲めないビール、宮崎の海の上でだけ楽しめるオンリーワンの商品です。

地域を第一にする青島クラフトの理念

海とビーチとスポーツ、そして地元宮崎を愛する人々に笑顔と幸福を提供することを第一としています。私たちの商品は、この地だから生まれるもの、この地のために生まれるものであることを前提としています。言い換えると、「ローカルファースト」「ローカルリスペクト」であることを大事にしているんです。

これは、私個人が地域に根ざした活動をする上でも大切にしていることです。例えば、青島クラフトの最初のクラフトビールとなった「青島サーフエール」は、サーフィンをして海から上がった後にすっきりと飲めるビール、そういったコンセプトから生まれました。

これは、前述の通り、魏と長野の着想です。他社を真似たクラフトビールをつくろうと思ったわけではないからこそ、宮崎にだからこそ、生まれたコンセプトなんです。

こういった、宮崎にいるからこそ出来る味と私たちらしさ、宮崎にいるからこそ抱く意図はこれからも大事にしていきたいんです。

一方で、「地元だけの販売では経営が難しい」「積極的に外に展開していきたい」ということも、他社ではよくあることだと思います。ビールに限らず、割高な観光客向け商品はたくさんありますよね。

私たちの理念は、まず、地元に愛されること。そこは揺らぎません。

地域の方に生活の中で楽しんでいただいく、愛していただいく、そして文化としてこの地域に根付いた上で、広げていこうという姿勢です。地元の方が普段の生活の中で楽しんでいただけるような価格に設定していますし、その結果、地域に根付いてこられたと思っています。

地域に根ざしているからこそのメリットはやはりあって、「ビールを造っている」と聞いた地元の方が「買いに行くね」と声をかけてくれる、買ってくれる。

地元愛のある方が、向こうから自然に寄ってきてくれるんです。
とても不思議で、嬉しいことですよね。

ビジネス上の課題との兼ね合いもありますが、そこは私がつなぎとめる、その役割を担えると信じて取り組んでいます。理念と姿勢は変えない、それが私たちのスタイルです。

こういった私たちで、これからも地域に合った、地域の人の生活に合った商品を作り上げていきます。また、商品の販売だけでなく、イベントのスポンサーなど支援するという形でも実現していきたいと考えています。ビールなどの飲料は、そういった機会に参加しやすいと感じているので積極的に行っていく予定です。

青島クラフトの取り組みが、地域の方、外から来た方、そして企業などの組織、それぞれがうまく溶け合うコミュニティに貢献できればと考えています。

今後のビジョン

宮崎に還元していく取り組みとして、プロスポーツ選手を目指す子供たちの支援に力を入れていきます。宮崎県は平均所得が全国的に低いという調査結果があります。資金面から、夢を諦めざるを得ない子供たちも多い現状があります。そこで私たちは、支援金に還元できる商品の企画・販売、大会などへの協賛など、多角的なアプローチを検討しています。

また、地域に愛される新商品の開発も続けていく予定です。現在、検討しているものだと、ゴルフ用のビールがありますね。ここ宮崎の様々なシーンで楽しんでいただけるような商品を準備中しています。

新しい商品を展開していく上で、よりマーケティングに力を入れていく必要も感じています。今後取り組んでいくべき課題ですね。デジタルマーケティングの領域を鍛えていく必要も感じていますし、企業コラボレーションを活用したマーケティングなども検討しています。また、弊社の取り組みを、IU情報経営イノベーション専門職大学の実地授業に活用する企画も予定しています。

課題をもう1つ上げると、イベントなどの協賛の仕方で難しさを感じることがあるので、うまくやりくりすることがポイントですね。例えば、サーフィンの大会などで「青島サーフエール」をアピールしたいのですが、スポーツなのでアルコールの提供するのが難しいということがあります。例えばノンアルコールビールを開発して提供するなど、うまくご一緒できるように工夫していきたいと考えています。様々なシーンで、より多くの方たちに楽しんでいただけるよう、取り組んでいきます。

今後の社会全体のトレンドを考えたとき、私は、地方のあり方がかつてのそれに回帰していくのではと考えているんです。昔は、「ここでしか食べられないもの」というのが、今より多くありましたよね。ご当地ならではのものがコモディティ化していき、減っていきました。全国どこでも、同じものを食べられるようになってしまった。しかし、これから地域に根ざした商品を生み、大切にし、続けていくことで、また地方の個性が活きてくるのではないでしょうか。私たちの取り組みが、そういった未来に続いていくのではないかと考えています。

どんな人材が必要か?

人材確保は積極的に行っていきたいことですね。現在、宮崎大学の学生さんにお手伝いに来ていただくなど、これから一緒に働いてくださる方との接点を多く設けるよう取り組んでいます。今後は、移住して来た方・検討している方向けにも行って行きたいです。

弊社にマッチする人材としては、ビールのつくり手か、それ以外の営業をはじめとした職種かで大きく分かれると思います。

ビールのつくり手は、製造に関わることはもちろん、品質管理や遵法性の観点にも意識を高く持つ必要があるので、当たり前のことをしっかりできる力が重要だと思います。1つの仕事にしっかり向き合い、職人のように取り組む姿勢、気持ちのある方に挑戦してほしいです。

営業に関しては、経営やマーケティングの視点で考えられる、お話しできる力が必要だと考えています。こちらは、1つのことに集中するというよりは、幅広い視点からビジネスに向き合える方が向いていると思います。

マインド的なところですと、「宮崎が好き」という方、「サーフィンが好き」という方、何か弊社と親和性を感じてくださる方であればきっと合うはず! ビール造りに関しては、終業時間も毎日17時としっかり決まっているので、仕事後の時間を大事にしたい方にはマッチすると思います。

【URL】
青島クラフト株式会社の公式サイトです。

https://aoshimacraft.com/

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社名:青島クラフト株式会社
本社所在地:宮崎県宮崎市青島1丁目5番4号
設立:2021年
事業内容:クラフトビールの商品開発および販売。食品・飲料の商品開発および販売。それらに纏わるグッズ販売。
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