圧倒的な顧客志向で年間1億6000万回の“ありがとう”を集める

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今回は、株式会社サン・ベンディング東北 常務取締役 加藤友人 様です。

【Profile】
株式会社サン・ベンディング東北
常務取締役 加藤友人
1979年宮城県仙台市生まれ。東北学院高等学校を経て明治大学経営学部に進学。
大学卒業後、サントリーフーズに新卒として入社。メーカーの営業として経験を積む。その後、経営コンサルタントに師事。さまざまなノウハウや知識を吸収したのちダイドードリンコにてルート営業を経験する。2009年12月、サン・ベンディング東北に入社。現在に至る。

目次

東北地方でのシェア20%、33,000台の設置実績を誇る

サン・ベンディング東北は飲料の自動販売機を設置し、自販機を通じて飲料や食品を販売している会社です。カバーするエリアである東北6県と北海道、新潟、北陸にも拠点を構えています。

ホームグラウンドである東北地方では現在、シェア20%を占めるまでに成長しました。
長期的にはここから30%、40%と伸ばすべく事業を展開していきます。設置台数はグループ全体で約33,000台。シェア拡大に伴い、台数もさらに伸びていくことになるでしょう。

ビジネスモデル自体はメーカーさん同様、オーナー様にセールスをさせて頂き、ご了承をいただけたら自販機を設置する、というシンプルなもの。
ただ当社の場合、自社オリジナルの自動販売機を展開しているという点が特徴です。

この業界ではメーカーさんから自販機をお借りするのが一般的です。
ただしその場合、当然ですがそのメーカーさんの商品しか販売できません。
その点、当社はオリジナルの自販機なのでそのような制約がないんですね。

当社では「自販機のコンビニ」と捉えているんですが、飲料各社の売れ筋商品を取り揃える戦略です。これがお客様のニーズを捉えることにつながり、シェア拡大の要因のひとつとなっています。

加えて当社では自販機を1台ではなく2台置くプランを標準モデルとしてご提案させていただいています。それにより商品数は66品目扱えることになる。業界標準が30品目以下という中で圧倒的な品揃えを実現しています。

しかも価格もできるだけ安く提供しています。飲みたいものが他の店よりも安い。お客様からいただく評価としてはこれが最も多いです。
加えてシェア20%になれば、かなりの頻度で街中で目にすることになります。
つまり「いつでもすぐそばにある」というのも当社の特徴です。

住宅地の中にも設置してあるので、コンビニに出かけるよりも近くで飲みたいドリンクが安く手に入る。これはお客様はもちろん、オーナー様からも喜ばれているポイントです。

あと、意外なことに冷たい商品がしっかり冷えている、という感謝の声もいただきます。
お店にしてもコンビニにしても、ドリンクは完全に密閉された環境で販売されているわけではありません。どうしてもショーケースの開け閉めが発生しますから。一方で自販機にはそれがない。冷たいものはしっかり冷たく、温かいものは温かいまま提供できるんです。

圧倒的な品揃えと手頃な価格、そしてすぐそばにあるという基本的な3つの価値をしっかりと磨きつつ、さらなる成長や新たな展開を仕掛けようと動いているのが当社の現状です。

「いつかは自分が…」早くから承継を意識

小中高まで地元の学校に通っていた私は、大学進学を機に上京し、経営学部に籍を置きます。卒業後は取引先でもあるサントリーフーズさんに入社。いろいろ勉強させていただきました。その頃にはもう後を継ぐ意識はありましたね。周囲からも無言のプレッシャーというか(笑)。だからメーカーさんに修行に行かせて頂きました。

サントリーフーズの後に経営コンサルタントのアシスタントの仕事に就きます。
当社社長、つまり父親から一度経営を勉強してこい、と言われまして。
面白そうだし、将来の会社経営にも役立つだろうと先生の鞄持ちをさせて頂きました。
実際に経営者に向けてコンサルティングを行なう現場にも立ち会ったり、経営に関する知識はかなり広がったと思います。

その後、あらためてダイドードリンコさんでキャリアをリスタート。
一年半ほどルートという補充員の仕事を勉強させていただいた後、2009年の12月からサン・ベンディング東北へ。取締役として社長の補佐をしながら現在に至ります。

サン・ベンディング東北ではいろんな仕事を経験しました。
自動販売機の営業から設置の立会い、現場のマネジャー、さらに組織づくりまで。
現在は新たな経営資源を作るというコンセプトのもと、新しい施策の企画立案を担当しています。

未来に向けての施策としては、飲料以外を扱うフード機へのトライアルですね。さまざまな可能性を模索中です。加えて最近はプロモーションにも力を入れています。メーカーさんの自販機を扱っていた頃はメーカーさんがプロモーションをしてくれました。

ところが自社自販機が多くなってからは自分たちでやらないと何もはじまりません。
ただポジティブに捉えれば、自分たちのやりたいプロモーションができるわけです。
これをチャンスと捉えて、プロモーション専門の部署を立ち上げました。まずはSNSの発信からはじめたところです。
お客様のニーズに徹底的に応えることにより、自然と自社機が広がっていきました。

自販機に並べる商品のセッティングには過去の販売データを活かしています。
最適な売れ筋の組み合わせを分析した結果、自販機2台設置というプランが生まれた。
2台置きにすることで「自販機のコンビニ」としての魅力が最大限発揮されます。

自販機は生活のインフラになっている

東北のすべての企業に共通しているのが、3.11を経験しているということ。
ここ仙台も激震で潰れるんじゃないかと思いました。海までは4キロなんですが、会社の前の道路を渡ってすぐそこまで水が来ていたほど。市内も大変なことになっていましたね。

私たちはそこで「物がない」ことを生まれてはじめて経験します。物流網がストップしてどこのお店にも商品がない。物が買えないわけです。そんなときに電気が通じた場所の自動販売機はものすごく喜ばれました。自販機の前に人が並び、飲料を求めている光景をはじめて見ました。みなさん口々に自販機があってよかった、と言ってくれるんです。

翌日からさっそく社員総出で手分けして位置のずれてしまった自販機を直したり、少しでも買いやすい環境、買える状況を整備しました。
お客様からは感謝の言葉をたくさんいただきました。あらためて社員全員が自販機は生活のインフラになっている、ということに気づきました。
自分たちのやっていることが世の中の役に立っていることを肌で感じ、みんなの意識も大きく変わったと思います。

コロナのときも自販機はみなさまの楽しみのひとつになっていました。
どうしてもお店にいきづらい、外出すら憚られる時期でしたから。
外置きで、なおかつ住宅地に設置されている当社の自販機は「自宅のすぐそばにある」という価値を思う存分発揮できたんですね。プロモーションのスローガンでもある『with DRINK』はまさにこれだ、と。

こうした自社製の自販機ならではの特徴を活かして地域貢献への取り組みも積極的に行っています。つい先日も『夢の自販機』という、地元の小学生が描いたイラストでラッピングした自販機を作りました。あなたの夢の自販機はなんですか?というテーマで公募し、その中から2名の作品を実際に設置することで世の中に出しました。

また仙台市とコラボして、ごみ減量・リサイクル推進キャンペーンキャラクターの「ワケルくん」を当社自販機横に設置するリサイクルボックスに登場させる、という取り組みもテストで実施しました。SDGsにつながる社会貢献活動の一環ですね。

今後はフード機も増やしていく計画です。さらに品揃えが豊富になり、人が集まるようになる。その結果、地域のあちこちに賑わいが生まれれば、と思っています。そのためにも面白い企画、たとえばお客様が喜ぶようなキャンペーンなどを企画していきたいです。自販機をもっと楽しくしていく。これからチャレンジする取り組みのひとつといえるでしょう。

1本100円、150円の“ありがとう”を積み重ねる

当社の行動指針のひとつに「顧客第一」があります。お客様の立場で商売をどう捉えるか。現在、自販機が33,000台あって、商品単価は100円とか150円。これを年間1億6000万本売っている。だったら1億6000万回のありがとうを集められるようになろう、と。
そういう価値観の会社なんです。

正直なところ、自動販売機業界を取り巻く環境は厳しくなっています。でもそれは、品揃えが充実していなかったり、飲みたいものがなかったり、場合によっては値段が高かったり、とお客様のニーズに応えられていないことに原因があるのだと思います。

だから当社はお客様のニーズに徹底的に応えます。そうすることで自販機があってよかったと言われる。毎日買っているよとか、生活の一部とまで言われることもある。100円、150円の商品を1本ずつ大事に販売するという価値観を社員全員で共有しているんです。

そしてこの仕事はAIに代替できません。今はさまざまな分野で自動化が進み、効率の良い素晴らしい社会ができつつあります。でも自販機は人間が倉庫から商品をトラックに積んで運び、1本1本補充しなければならない。それを社員280人で年間1億6000万回やっているんです。実に地道な、かつ人間にしかできない仕事といえるでしょう。

そうした社員の生活の安定を図ることは、私たち経営陣にとって最も重要なミッションだと捉えています。特に給与面では今年ベースアップを実現。来年も上げるぞ、と社長は張り切っています(笑)。

自動販売機の仕事ではお客様と接する場面も数多くあります。そのときに会社に不満を抱いていてはいい仕事はできません。とにかく社員にとっていい会社にできるよう意識して経営に取り組んでいます。

そのためにも一層のシェアアップを狙っていきます。現在の目標は東北地方の30%ですが、いずれは50%まで伸ばしたいですね。シェアを伸ばすことはお客様からいただく“ありがとう”の数を倍増させていくことにほかなりませんからね。現在の年間1億6000万回が2億にも3億にもなると思うとワクワクします。

もうひとつビジョンとして描いているのは新たな価値を生み出すこと。具体的には飲料+フード機の展開です。ドリンクと親和性が高く買いやすいお菓子やおつまみ、あとはパンなども扱うようになりました。あとはご当地もの。ご当地ドリンクなどは話題性もインパクトも十分で、集客力もあります。

同時に発信力もあげていきます。いま当社のスローガンであり自販機にも掲げている『with DRINK』の認知度は外部調査で68.7%。頑張っているほうですが、でもコンビニは100%ですよね。だから『with DRINK』も100%を目指します。ただ知られているだけでなく、あらゆるお客様に喜んでいただいた上での100%を。

当社は2025年には創業50年を迎えます。50年続く企業であることに誇りを持ちつつ、まなざしは次の50年へ。創業100年を目指すのはまぎれもなく自分たちの代ですから、自分たちの手でより大きく、よりよい会社に磨き上げていこうと邁進していきたいと思います。

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